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赫炎のインガノック

今日の紹介は、ライアーソフトの「赫炎のインガノック」です。


10年前の《復活》によって、蒸気機関都市インガノックの全てが歪んだ。精霊や妖精のような幻想生物が姿を現し、また人々を動物の姿へと変異させる奇病が流行り、何より41体の異形『クリッター』が人々を脅かす。そして都市を覆うように立ち込める無限霧によって、インガノックは完全に孤立していた。
御伽噺が現実であるこの都市には、もう御伽噺は存在しない。ただ一つだけ、『奇械』という鋼の英雄が、儚い願望のように時折語られるだけである。
・・・・・・
死と貧困の渦巻く都市下層。ギーは、《復活》によってもたらされた力『現象数式』をもって、貧しい人々への巡回医療を営んでいた。『死の都市法』に逆らって、死に行く人々に手を差し伸べ続けるも、目の前で消えていく、命。それでも彼は、手を差し伸べるために、街を歩き続けた。
そして彼は出会う。「キーア」と名乗る少女に。「鋼」の彼に。

独特の世界観、言葉遊びのようなテキスト、そして難解なシナリオ。激しく人を選びそうな作品ですね。自分はとても気に入った人間です。
魅力を感じた点は多々あります。
まず、世界観を初めとした「雰囲気」の構築。難解ながら緻密に練られた設定と、それをありのまま体現したようなグラフィックや音楽達がインガノックの世界へのめりこませます。特に音楽は、数が少ないながらも秀逸なものばかりだと思います。また、言葉遊びのようなテキストが、この世界観を彩る重要な要素になっています。特に(賛否両論であろう)戦闘や黄金螺旋階段などのバンクはプレイヤーの皆さんに強烈な印象を残しているでしょう。
そして、その独特のテンポのテキストで綴られる物語。所々で見かける評価に「大人の御伽噺」というのがありましたが、正にそれ。色々な隠喩と言葉回しで難解に見えるけれど、根幹は単純で、それでいて大切なもの。号泣するような感動劇があるわけではありませんが、自然と頬を涙が伝うような、心に染込んでくる美しい話であったと自分は感じました。
物語に付随して、その中で描かれる人々も魅力のひとつです。「心の声」というシステムによって、登場人物が深く掘り下げられ、彼らへの愛着は一層強く。また、そうして「声」を聴けるメインキャラはもちろんのこと、色も声もない人々の生き様さえ、汚くも美しく、ひたむきで。声といえば、CVも完璧だと思います。ただ、フルボイスでないのが惜しまれるところ。

個人的にですが、この作品はアダルトゲームとしての理想形に近いんじゃないかと思います。アダルトという点では、暗さと憂いに満ちた難解な作風、効果的に挿入され雰囲気を損なわないHシーン。ゲームという点では、美しいグラフィック・音楽・テキスト、ADVという形式をいかした「心の声」システム。それらが組み合わさって本当の「アダルトゲーム」たり得てる、と。

そこに良質のシナリオが加わってもう最高……と言いたいところですが、そこまではまだ一歩足りませんか。何が足りないといわれればそれは……パートボイスに代表される製品としての質のようなものでしょうか。粗を探そうと思えば幾らでも見つかってしまう作品なんです。
ですから減点方式なら低得点になってしまうでしょう。しかし、加点方式ならどこまでも点が伸びる良い点をたくさんもった作品だと、自分は思います。



現在、WEBノベルが連載中。内容は主に外伝とアフターストーリーです。
自分、実をいうと作品のラストに納得できない部分があったのですが……アフターストーリーを読んだら色々吹っ飛びました。まだ続くようなので期待。
アティに入れ込んだ身としては2・3回目が破壊力抜群です。叫んで死にそうです。
一つの作品なら製品中で完結しとけよというツッコミはなしの方向で(汗)。


では、以上で失礼します。
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エロゲ製品版 | 【2008-05-08(Thu) 00:52:37】 | Comments(-) | [編集]

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