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MYTH

明日はコミケ2日目、ということで(どんなわけか)一年前に発売されたCircletempo「MYTH」を紹介兼レビューします。
遅すぎとか言わないで!分かってるから!



→(最終体験版Re:make+とあらすじの紹介
→(中途版の紹介
中盤までの紹介はこの2つに任せましょう。
とにかくパッケージにも「まずは8時間ほど」とあるように、
「最初、何も面白くないと思ってたらなんてこった……、それすらも伏線だったなんて」
というのが前半です。衝撃と謎がひしめく非常に面白い文章です。

それらの謎は終盤までしぶとく残り続けます。というか終わっても残りますね。そしてそれは伏線の回収漏れなどという話ではなく、事実関係がどうなっているのかさえ一見すると理解不能、というレベルです。
ですから、序盤中盤がインパクトのある展開だっただけに、そこと同じように分かりやすい感動を求めると、この作品はモヤモヤした不快なだけのものとなるかもしれません。そしてそれらを解消するには恐らく、考察という作業をするほかにないでしょう。

しかし、「このゲームは仕掛けや謎を考察するのを楽しむゲームなのか?」と訊かれれば、必ずしもそうではありません。
個人的にこのゲームは、読み解きながら人間に思いを馳せるゲームなんだと思います。下手な例えではありますが、子供の頃には分からなかった両親の行動にこめられた思いが、今になって身に染みてくる、といった感じでしょうか。あの不可解な行動(場面)を、全てを知った上で見つめ直すと、そこに込められた人物たちの『「意思」』が溢れ出てきて、その重さに呆然としてしまう。そして彼らの「夢」を思い起こし、心を震わせる。そんな中で、ふとOP「影、ミツメル、光」やED「神々の歌」を聴いて、涙が零れそうになることも(このゲームは本当に音楽が素晴らしい)。
しばしば感動というものは、悲愴な決意や決死の行動といったものによって引き起こされがちですが、それとはまた別の方向から「人」を考えさせてくれる、良い作品でした。




紹介の最後に、信者乙と言われようとも、ネタだと思われようとも、自分はこの作品をこう表現しましょう。

「MYTHってなんなのよ」
「人生...かな?」

「MYTH」を見届けたとき、この表現が決して過大評価でもネタでもなく、重厚な意味を持つことが出来ると、きっと感じて頂けるのではないでしょうか。

では、以下でネタバレトークをお届けします。多分コッチの方が長いです。

<プレイ済の人用・ネタバレ&妄想深読みだらけのgdgdコーナー>
推理が殆ど当たった例のない台鼎が拙い洞察で考えたコトを述べてみます。

以下、白字で。

この作品はどこまでも「MYTH」でした。

まず、北欧神話をモチーフにしてる上で、「ラグナロク」という言葉を上手く使ってますよね。
言葉が出てきた段階では単に「神話(MYTH)の終末」であり、それが「神(MYTHの法則)殺し」というオーディンの陰謀、最終的には「主神(オーディン)の死」そして「新たな時代の始まり」という結末と、どんどん具体的かつ北欧神話にふさわしい形になっていくのが面白い。

こんだけ北欧神話に忠実だとこんな妄想大爆発も出来ますね。
オーディン=作者=諒子というリンクがあったことを考えると、オーディン=諒子の兄弟は江戸川=ロキと言えます。実は北欧神話で、オーディンとロキは義兄弟なんです。面白いですね。
更に北欧神話で、ロキにはフェンリルという息子がいて、ラグナロクでは彼がオーディンを食い殺します。そして「MYTH」でロキ=江戸川のデータ(遺伝子)を持っているのは……?
まぁ主人公=フェンリルだったらカッコいいなという中二病回路が発動しただけなので流してください。

また、神話によくある、「同じ神なのに個々の伝承の間で違うことをしている」、という特徴も「MYTH」というシステムは兼ね備えてます。
あくまで人間は「データ」なので、それぞれの人間を主人公に据えた物語がそれぞれの物語の形をなす上で、複数存在しても問題なく、それぞれに因果律がある必要はないですからね。実際、命人がそういう存在でした。

そして、そういった特徴を持つ「MYTH」という装置。「次の」彼らが触れる神話っていうのは、正にこの「MYTH」なんじゃないか。逆に言えば、今我々が触れている神話も、この「MYTH」という物語で語られてきたような、人々が必死に生きてきたことの足跡ではないか。そんな風に思えないでしょうか。
そうやって先人たちに、未来の世界に思いを馳せると、あぁ、好き勝手やってるだけじゃアカンな、と思ったり考えたり。

その矢先、作中で「現実世界=滅亡」という図式が出来上がっているトコロに気づき、あぁナカオさんは厳しいなと打ちのめされるんですが(笑)。



最後に、アグニ世界についての妄想を。

初回クリア時から考えていたんですが、アグニ世界って一体何なのでしょうか。
「MYTH」は人の墓場であるから、中にいるのは「現実の死人」か「管理用プログラム」、そして「創造物」。
超力という能力、そして現実ではほぼ有り得ない悧里の髪の色を鑑みるに、現実にいたとは考えにくい。そして命人のアイデンティティの問題と影を持っている関係で、彼は(少なくともオーディンによる)創造物であってはならない。かといって管理者でもなさそうだし……。

そこで妄想発動して推理してみました。糸口は悧里の正体です。
作中、悧里(意思)と同じような粗暴な口調をしている人物は他にいなかっただろうか?
その人物には、悧里と同じの容姿になるだけの理由がないだろうか?
その人物には、悧里の超力と同じような相手を圧倒する力がなかっただろうか?
その人物は、悧里と同じようにMYTHからの脱出に最後まで固執していなかっただろうか?

そして一番最後のシナリオをplaybackしてもらえば分かると思うんですが、この部分では悧里(意思)の一人称視点で進んでいたのに急に悠爾が登場し、"私が作り上げた架空世界"という地の文が入ります。オーディンも一人称は「私」なので叙述的にも問題ないですね。

ということで自分の結論は、オーディンがMYTH上で人間として生きるために諒子のデータ(影)を付与されたのが悧里で、その架空人物が生活する架空世界がアグニ世界、という感じです。
これなら綺姫が生まれた理由も説明できる気がしますし、どうにかオーディンも素直にハッピーエンドを迎えられたと言えないかなぁ、なんて期待してみます。


まだまだ他にも謎は残っていますが、それらをとく度にまた新たな感慨を覚えるのでしょう。

では、これにて。
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エロゲ製品版 | 【2009-08-14(Fri) 21:24:12】 | Comments(-) | [編集]

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